スターデジオ事件

  • 争点
    1. スターデジオの放送は著作権法上の「放送」に該当するか?
    2. 音楽データの一時蓄積が放送のための一時録音に該当するか?
    3. 私的複製の教唆や幇助による複製権侵害になるか?
    4. チューナーにおける複製権侵害の成否は?
  • 判脂
    1. 同一な内容を送信し、送信と同時に受信されることを目的としてるので放送であるといえる
    2. 音楽データを恒久的に蓄積せず、いずれは消えるシステムなので一時的ではあると考えられる、蓄積自体も放送に必要な範囲内で行われていたので、この2点から放送のための一時的な複製であるといえる
    3. 個人の私的使用の範囲内での複製は認められてるので幇助、教唆には当たらない
    4. チューナー内のRAMへの蓄積は一時的な性質が強く、また削除されることが最初から決まってるので、一時的な蓄積と考えることができ、原告が考えるような恒久的な蓄積には当たらない
  • 考察

スターデジオ側から考えてみる

  • 争点1番目

まず、原告はスターデジオを放送ではないと訴訟内で言ってるが、どうやったら放送ではないと結論付けたのかこっちが聞きたい
判脂で書かれてる通り、不特定多数に受信されることを目的に送信を行っていて視聴側の意図に関係なく送信が続けられている、これは十分放送と判断できる材料だと思う
放送事業者として商売してるのに、放送じゃないと言い張るのは噴飯ものだ

  • 争点2番目

放送としての一時的録音に該当するかの項目で、原告側は、スターデジオのサービスは放送ではないので一時的録音が適用されないと述べてるが、これは放送ではないと判断されることを前提に述べてるとも考えられる。
一時的録音が単独で複製権を侵害していた(ex保存期限を超えていた等)場合もあるかもしれないが
原告の狙いとしては、放送として認められない、放送と認められないならあれもこれも侵害だ、と雪崩方式で違法性を成立させる意図があったのかもしれない

  • 争点3番目

ここでベルヌ条約9条を引き合いに出してきているが、原告が言いたいのは

特別の場合について(1)の著作物の複製を認める権能は、同盟国の立法に 留保される。ただし、そのような複製が当該著作物の通常の利用を妨げず、かつ、その著作者の正当な利益を不当に害しないことを条件とする

と、ある中の「その著作者の正当な利益を不当に害しないことを条件とする」の部分だろう
録音されることで原告の利益に害が及ぶことの因果関係を証明できるなら争点3番の違法性は成立するかもしれない
個人的に思うのだが、普通に使ってる分にはMDへの録音等は思いつかないだろう
原告は全員やってるような言い草だが、そんなことをしてるのは一部の人間であって殆どの視聴者は普通にBGM程度に流してるだけだと思う

  • 争点4番目

複製云々の話をする前に、一時的蓄積可能なRAMを搭載チューナーが存在したかが不明
仮に存在したとしても、いずれは消去されるデータであるため一時的録音の範疇で収まると思う

  • 総括

起訴自体に無理があります
個人の私的範囲内での複製権へ口出しをしてる原告側のほうが問題だと思うのだが・・・・